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水の知識

1-3 水道水について

日本の水は本来飲用に適した軟水で、「湯水のごとく」といわれたように豊富でおいしく安全といわれてきました。しかし、1960年代後半頃より日本が高度経済成長期に入ると、水使用量が一挙に増加しました。経済成長は同時に環境汚染を引き起こし、水源の汚染や水質の悪化を招くこととなり、対応が困難な状態となりました。日本の水道普及率は、世界トップクラスで全国約97%に及んでいます。世界で水道が普及している国は約50ヵ国といわれ、中でも水道栓からそのまま水を飲める国は日本以外では少ないといわれるくらいです。水道水は重要な資源であり、水道水に依存する度合いはますます大きくなっています。水道水を作る浄水方法も、需要の要請に応えて、「緩速ろ過方式」から「急速ろ過方式」に進みました。さらに最近は「高度浄水処理方式」を取り入れて、量の拡大と安全性を追求しています。
 


■緩速ろ過方式■

ろ過池に敷きこんだ何層もの砂や砂利層で水をろ過する方式です。ろ過速度は非常に穏やかで、1日、3~5mです。砂利層の内部、表面に微生物が生育していて水の汚れなどを除去します。戦前のわが国では、緩速ろ過方式が中心で、いわば、ゆっくりと時間をかけて自然の力で浄水する方式です。
 

■急速ろ過方式■ 

産業構造の高度化や人口の都市集中によって一挙に水の需要が大きくなり、ゆっくりと水道水を作るというわけにはいかなくなり、短時間で浄水するためにこの急速ろ過方式が用いられます。浮遊物を沈降させる凝集剤(例えば、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム)を用いて高速にろ過し塩素を用いて消毒します。

現在わが国の大部分がこの方式を採用しており、水需要の拡大に対応しています。

 

■高速浄水処理方式■

急速ろ過法の課題(有機物などが残ってしまうとか塩素投入を減らすなど)を補う目的で、急速ろ過法にオゾン処理、生物処理、活性炭処理などを加えた浄水方法です。ただこの方式は、通常の水処理に対し、設備、材料を多用するので費用が高くなり、財政困難が言われる状況では拡充することは難しくなっています。
 

日本の水道水の水質基準はどうなっていますか?

水道水質基準は水道法第4条に基づいて定められています。水質基準の改正経過は次のとおりです。

●1992年(平成4年)産業の高度化に伴う水道原水汚染の拡大に対処して、水道水質基準が大幅に見直されました。これまでの基準は細菌感染を防ぎ、水の嫌な味や臭い、着色を防ぐことが大きな目的でしたが、消毒だけが「安全な水」の条件ではなく、複合汚染に対していろいろな対応をしなければならない時代になったといえます。
●2004年(平成16年)新たな水質問題やWHO(世界保健機構)の「飲料水水質ガイドライン」の見直し検討の開始などがあり再び大幅な水質基準の改正が行われました。この改正は、WHOガイドラインに則した化学物質基準の変更、病原性微生物に対する新たな対応。地域性・効率性を踏まえた水質基準の柔軟な運用など、従来の水質基準体系を大幅に変更した内容になっています。
具体的には、
①  従来の基準項目、監視項目、農薬に関する水質目標を見直し、水道水質管理上留意すべ き項目として「水質管理目標設定項目」を設定しきめの細かい基準とした。
②  消毒副生成物に関してはトリハロメタン類以外にもハロ酢酸等の問題や新たな化学物質による問題が提起されていること。
③  クリプトスポリジウム等の耐塩素性病原性微生物の問題が提起されていること。
④  農薬についてはまとめて水質管理目標設定項目のひとつとして入れられ、その地域の水源部で使用されている農薬だけを注意すればよい。
●その後環境の変化に応じて随時見直され、項目が追加されています。

 


大腸菌 

従来大腸菌群としてきたが、範囲を限定して病原生物による汚染性を明確にした。

臭素酸

オゾン処理の際生成される。動物実験では発ガン性が見られた。

ハロ酢酸 

水道中に含まれるクロロ酢酸をはじめとするハロゲン化酢酸は消毒剤(塩素)と反応して生成する消毒生成物であり、人体への影響が考えられる。

ホルムアルデヒド

皮膚、眼、粘膜に刺激性毒性、シャワーなどから吸収されやすい。

アルミニウム

凝集剤の漏出のほか、近年酸性雨によって、土壌中のアルミニウムが水源に溶出することが心配されている。

ジェオスミン及び2MIB

かび臭の原因物質

非イオン界面活性剤

浄剤、油処理剤として使用される。

全有機炭素(TOC)

水中の有機物質を、含まれる炭素の量で示す。

参考文献:一般社団法人 浄水器協会 http://www.jwpa.or.jp/ 
      浄水器Q&A』 浄水器協会 2015年3月 第13版発行