水の知識

1-4 水道水の危機

<安全な水道水を作るために努力しているのに、なぜ臭いがあったり水道水の危機といわれるの?>


水道水の飲料水としての第一の要件は「安全」です。
ところが、時として水道水が異臭味を持ち、カルキ臭の臭いがするという苦情が出たり、発ガン性のある物質が発見され、原虫(クリプトスポリジウムなどのオーシスト)が侵入して水道水の危機だと騒がれ、さらに環境汚染による水道水源の汚染対策などの課題が指摘されました。また予期せぬ原子炉が事故により放射能性物質の飛散から水道水へ混入した事件は、安全の観点からは大いな危機を発生させました。
これらは、水道水の浄水場で起こる要因というよりは環境汚染からくる、水道水源への汚染による浄水過程への影響や水道水を各家庭に運ぶ配水系統に問題を含んでおり、結果的に一般家庭の蛇口に影響を及ぼしています。

■水道水源の汚染と消費の関係■
水道水は、地下水や河川水を浄化して作られますが、これら水道水の原水が汚染されるとそのまま浄水過程に影響を及ぼします。工場廃水、農業廃水、畜産廃水、生活雑廃水などが河川に流れ込み、河川の自浄能力を超えて、水質の悪化を招きます。リンや窒素を多く含んだ台所廃水や洗濯廃水などの多くがそのまま流されると、河川、湖沼の富栄養化を招き、藻類が増殖します。それによって放線菌が繁殖し、またアンモニアやカビ臭を発生させます。浄水過程に多大の影響を及ぼします。水道水は、細菌汚染を防ぐため、消毒に塩素が使用されます(いわゆる残留塩素となって残ります)
これは殺菌力は強いが、人体に影響が少ないこと、しかも、家庭の蛇口まで殺菌の持続性が求められる消毒剤です。(水道法では、家庭の蛇口において、1ℓ当たり遊離残留塩素0.1mg以上保持していることとと決められています。 しかしこの残留塩素は、水道原水の汚れがひどくなって、水道水に有機物やアンモニア分などが除去しきれないで残っていると、塩素と反応していわゆるカルキ臭やトリハロメタン等(消毒副生成物)などを生じさせます。 こうしたことから、塩素は消毒に必須ながら投入を少なくする方法が検討されています。

 


水道水が家庭に到達するまでの問題

浄水場で、水道水が作られても、各家庭に届くまでに汚染される脅威があります。水道管は施設されて以来必要に応じて更新されていますが、膨大な水道管などの更新は工事や費用の膨大さもあって進めるのが大変で、施設の老朽化によって水道水汚染や漏洩が発生しやすくなっています。

■集合住宅の水、給水管の問題■
 集合住宅やビルにおける水道水は、一般の戸建ての住居と違って、水道水はいったん受水タンクに溜められてから配水管を通って各部屋へ送られます。マンション建設後何年もたつと、この受水タンクや配水管自体が汚れ、また破損しやすくなります。汚れやサビなども、水道水を汚す原因となります。水道水が赤水や白水などになって出ることがあります。 これに対して、給水管からの直結給水や受水タンクの清掃などの対策がなされていますが水道圧が高いと、建築年数の経過により各種の給水器具を破損する恐れが出てきます。また、建物の中の配水管は建物所有者の責任で、取替えなどの困難な課題が発生します。

■戸建て住宅の水・鉛給水管の問題■
 かねて水道が施設されるに際して鉛給水管が多く使用されていました。鉛管は、加工しやすく安定した材料として、各家庭用に多く使われていました。
 しかし古くなってくると鉛給水管から鉛が流出しやすくなってきます。鉛は人体に於いて蓄積性があって、幼児などには有害性が認められています。その毒性に鑑みて、2003年には、WHO基準に沿って、鉛に対する水道水質基準が0.05mg/Lから0.01mg/L以下と厳しくなりました。ただ鉛給水管からの溶出という末端び家庭に起きる問題であるだけに、鉛管の敷設交換などが大きな課題となっています。鉛管の問題は新聞でも大きく報じられました。

 


水道水への主な汚染物質状況、原因と影響

トリハロメタン類

浄水過程での塩素と水道水に残った有機化合物が反応してできます。発ガン性が指摘されています。(消毒副生成物)

ハイテク汚染物質

トリクロロエチレン、テトラクロエチレンなど。クリニーングやハイテク工場の洗浄液などが、地下水などを汚染することが多いと言われています。

農薬

除草などで使用される農業(シマジンなど)、一般に使用されている農薬類は河川に流れ込み、また地下水を汚染します。

臭気物質

ジエオスミン、2-メチルイソボルネオールなどが水道水のカビ臭の原因物質となっています。湖などの富栄養化によって藻類が繁殖し、臭気が出てくる原因となります。

鉛給水管、鉛入り給水器具等からの溶出が原因とされています。pHの低い水ほど溶出しやすいです。鉛は蓄積性があり貧血、消火管の障害、神経系の障害、肝臓障害などへの影響が言われています。

クリプトスポリジウム

原虫の一種で、畜産排水等の流入によって水道水源が汚染されることがあります。集団感染を引き起した例があります。アメリカではミルウオーキーなどで死亡事故を起こした例もあります。日本でも、埼玉県で水道水に侵入した例があります。塩素消毒でも死なないので原水の浄化対策が必要です。

最近の水道水への脅威という観点からはO―157事件、ダイオキシンの地下水への侵入、放射  性物質(放射性ヨウ素)の水道水混入などがあります。


参考文献:一般社団法人 浄水器協会 http://www.jwpa.or.jp/ 
     浄水器Q&A』 浄水器協会 2015年3月 第13版発行